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2011年4月18日 08:52 / カテゴリ:[ 道尾秀介 ]
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小学生の慎一と春也は「ヤドカミ様」なる願い事遊びを考え出す。
100円欲しい、いじめっ子をこらしめる――
他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり、
子供たちのやり場のない「祈り」が周囲の大人に、そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。
注目度ナンバー1の著者による最新長篇小説。
鎌倉の風や潮のにおいまで感じさせる瑞々しい筆致で描かれる、
少年たちのひと夏が切なく胸に迫ります。
思えば「向日葵の咲かない夏」でボロクソの感想を書いたのに、
その後も文庫になれば全て読んできました。
最初は気持ち悪さが心地良いという、
少しズレた所に魅力を感じていました。
そして私の大好きな伊坂幸太郎さんより早く直木賞受賞。
いつか獲りそうだとは思っていましたが早かったですね。
思うに私はすでに道尾さんのファンなのでしょう。
最初はアンチのような感じで読み始めたのに、
今では新作を心待ちにしていますので。
そんな道尾 秀介さんの小説「月と蟹」です。
いつものように何の前知識もなく手に取ったので、
「今回はどんなワクワクがあるのだろう」
とミステリー小説のつもりで読んでいましたが、
読んでいるうちに
「これはミステリーではないのでは・・・」
という感じを受けました。
むしろ教科書にも載りそうな文学っぽい物語でした。
少年の事、家族の事、友達の事。
じっくり読んでみると、今までの道尾さんの小説にもあったように、
読む人によって受け方が違うというお話です。
特に目を惹かれた部分が、
話の中で何回も出てくる「ヤドカミ様の儀式」
もしかしたら人によっては、酷い、
気持ち悪い儀式だと受け取る人もいるかもしれません。
しかし、
何もかも思い通りにならなくて、
でもまだ幼すぎて伝える手段もないから、
自分より弱い存在である生物に対して、
願いをかけながら残酷な行為をする。
そんな思いを共有して出来た友達。
形は少し歪んでるかもしれませんが、
そうする事で本当に救われると信じるという行為は、
小さい頃なら誰でも経験があったのではないでしょうか。
例えば、
今日は時計の数字が揃ったのを目撃したら良いことがある。
横断歩道の白線だけ踏めば今日はいい日になる。
流れ星に願いをいうのも同じですよね。
友達みんなで集まって、
アリの巣や犬のフンに爆竹を仕掛けて遊ぶような、
明るい少年達だけではありません。
(小さい頃やりませんでしたか?)
陰湿だけども、
そこに希望があると信じるからやっていける少年だっています。
さらにこの二人の少年の中に異性の少女が加わることで、
二人に変化があり、物語も進んでいきます。
時代設定がいつ頃なのかはわかりませんが、
最近の小学生は異性を意識するのも早いでしょう。
私は小学生の時なんて全く意識しませんでしたが・・・。
少年の心が色んな所で揺れ動いているのが、
描写からよく伝わってきます。
そういえば文字だけなのに、
他の作品より凄くリアルに場面や心境がイメージ出来たりしました。
長編なのに長いとも感じませんでしたし、
終わりの方は読んでいて展開にハラハラして、
時間を忘れて読んでいました。
そういったスピード感、話の進め方のうまさは、
今まで読んだ道尾さんの作品と共通しています。
「この先何が起きるか全くわからない」
これが道尾さんの作品の魅力の一つだと思っています。
予測不能だから楽しい、
だから次も読んでみようと思わせてくれます。
やはり賞を獲った作品だけあって、
物語に力強さを感じました。
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